
沖縄では、6月23日は公休日です。「え?」って思われるかもしれませんが、沖縄県内限定の公休日として、本土復帰後も制定されています。本土では聞きなれない「慰霊の日」とは、一体どんな日なのでしょう?
慰霊の日は沖縄県民にとって特別な日
慰霊の日は、毎年6月23日と定められています。これは、1945年6月23日に、沖縄戦の組織的戦闘が終結したことにちなんで制定された、沖縄県内限定の公休日です。
そのため、国の期間以外の県内の各役所はもちろんですが、子供たちの学校も、この日は公休日になります。
一度はなくなった沖縄の慰霊の日
沖縄の公休日として制定されている慰霊の日ですが、かつて一度、この公休日の制定がなくなったことがあります。
もともと慰霊の日は、本土復帰前の立法院によって制定された公休日です。そのため、本土復帰によって日本の法律が適用されると、公休日としての法的根拠がなくなり、さらに、1989年に週休二日制の導入に伴い、公休日として認められなくなってしまいました。
地方自治法の改正によって復活した慰霊の日
1991年に、地方自治法が改正され、県の公休日として沖縄県内限定の公休日として慰霊の日を復活します。でも、あくまでもこれは「地方自治法」に基づく県内限定の公休日であるため、国立行政機関は、今でも公休日としての扱いはありません。
民間企業は大半が出勤
民間企業は、あくまでも民間です。そのため、ほとんどの民間企業は、慰霊の日であっても基本的には出勤です。それでも、やはり正午には、仕事の手を休め、それぞれの職場で黙祷をささげるのが通例となっています。
沖縄の国立大学も休講
慰霊の日は、沖縄県内限定の公休日です。ですから、国家公務員が働く機関では、休日になりません。となると気になるのが、沖縄県にある国立大学・琉球大学です。
慰霊の日でも、琉球大学では昔、通常どおり授業が行われていた
現在では、国立大学法人である琉球大学でも、慰霊の日は休講となりますが、1999年までは、国の定めた休日ではないという理由から、通常通りの授業が行われていました。
ちなみに、琉球大学の教職員は、国家公務員という扱いになるため、現在でも休日の恩恵はありません。
慰霊の日は、高校野球の試合中も正午に一時中断
沖縄代表の試合がテレビ中継されると、街を歩く人や車がいなくなるというほど、県民そろって高校野球ファンという沖縄ですが、慰霊の日はちょっと違います。
慰霊の日当日は、例年、県内では高校野球の沖縄大会が行われるのですが、この日の正午になると、どの球場でも試合が一時中断され、1分間の黙祷をささげます。
慰霊の日にはどんなイベントがある?
沖縄の慰霊の日には、沖縄戦で犠牲となった人々の魂を慰霊し、悲惨な沖縄戦を風化させないという強い想いがこめられいます。ですから、沖縄県内各地では、さまざまな追悼イベントが行われています。
沖縄全戦没者追悼式
糸満市にある沖縄県平和祈念公園で、午前11時50分から沖縄県ならびに沖縄県議会が主催する「沖縄全戦没者追悼式」が行われます。沖縄戦犠牲者の遺族や親族たちが、県内外から追悼式会場に集まり、正午になると黙祷を捧げます。
慰霊の日に入場無料になる施設
慰霊の日には、平和祈念公園内にある「沖縄県平和祈念資料館」や「ひめゆり平和祈念資料館」が入場無料になります。
通常、沖縄県平和祈念資料館の場合は大人¥300(個人)・小人¥150(個人)、ひめゆり平和祈念資料館の場合は、大人¥310・高校生¥210・小中学生¥110です。いずれの施設も入場無料となりますから、この機会に改めて平和に関して考えるきっかけとして訪れてみてはいかがでしょうか?
7月でも参加できる慰霊の日関連イベントは
6月23日は、沖縄県民にとって大切な日です。でも、慰霊の日以外でも県内各地では、多数の慰霊に関連したイベントが行われます。
沖縄県平和祈念資料館
第1回子ども・プロセス企画展「戦時下の教育と沖縄戦」
悲惨な戦争に国民を総動員するために、戦時下の日本ではどのようにして子どもたちに教育を行っていたのかがわかる展示です。展示には、戦時下で使われていた教科書や、当時の貴重な写真などが多数展示されています。入場無料ですので、ぜひどうぞ。
- 場所:沖縄県平和祈念資料館 1階ひろば・ゆいまーる
- 料金:入場無料
- 期間:平成29年5月30~7月10日(月)
南風原文化センター
第78回企画展「いくさの記憶」
南風原出身者の戦争体験の証言や、戦時中の住民の所持品などが展示されています。常設展事情では、南風原陸軍病院で実際に使われていた衣料品や、当時の状況を体験できる寝台の設置、手術台や当時の地形模型などが展示されています。
- 場所:南風原文化センター
- 料金:観覧無料(ただし常設展示場は入場料が必要です)
- 期間:平成29年6月5~7月2日(日)
豊見城市歴史民俗資料展示室
慰霊の日企画展「戦世の暮らし・想い・動き」
「豊見城村史戦争編」の執筆などによって収集してきた証言や当時の暮らしを綴った住民の個人日記、日本軍の戦時日誌などの資料を組み合わせ、豊見城村を中心とした人々の戦時下での暮らしや想い、思想、価値観などを知ることができる展示会です。
- 場所:豊見城市歴史民俗資料展示室(市中央図書館1階)
- 料金:入場無料
- 期間:平成29年5月30~7月2日(日)
慰霊の日は一人ひとりが平和について考える日
慰霊の日は、沖縄県民にとって大切な日です。慰霊行事に参加する人もいるでしょうし、家族で平和について語る日としている人もいるでしょう。
慰霊の日のすごし方は人それぞれですが、公休日であることもふくめて、なぜ沖縄に慰霊の日があるのかということを、一人ひとりが考えてみる日でもあるのではないでしょうか?