沖縄ではいろいろな年中行事がありますが、沖縄独特のものも多いです。「ムーチー」もそのひとつです。本土の人はまず知らない「ムーチー」について、ご紹介します。
ムーチーってなあに?
沖縄では旧暦の12月8日に「ムーチー」を食べて厄払いをする習慣があります。旧暦なので毎年日にちが異なり、2018年は1月24日です。沖縄で販売されているカレンダーには絶対書いてある、沖縄ではメジャーな行事なんです。
・・・って、私も沖縄に引っ越してから知りました。
「ムーチー」とは、餅のことです。ムーチーを仏壇や火ぬ神にお供えしてから、家族で健康を祈願し食べます。子供の歳の数のムーチーを天井から吊るしたり、初めて赤ちゃんがムーチーの日を迎える家では「初ムーチー」と言って、ムーチーを近所や親戚に配ったりもします。
ムーチーの味は?
ムーチーとはこちら。

月桃(げっとう)の葉っぱの香りは、ちょっとハッカのような、スパイシーな独特な香りです。
お餅は餅粉を水でこねて作ってあります。お餅は白いのが定番ですが、紅いもを練りこんだり、黒糖を練りこんだものもあります。お餅の中には、あんこなどは入ってません。ほんのり甘くて素朴な味は本土出身の私もどこか懐かしい感じがします。
ムーチーの由来
ムーチーの行事は民話が由来になっています。
「鬼ムーチー」のお話をご紹介したいと思います。
昔、ある村に兄と妹が住んでいました。兄は夜になると家畜を食べる鬼になってしまいました。妹は鬼を退治するために、鉄くぎを入れたムーチーを作り、月桃の葉で包みました。そのムーチーを鬼に食べさせ、崖から突き落として鬼を退治しました。
それが旧暦の12月8日だったので、この日にムーチーを食べて厄払いをする習慣になりました。
実はこの話しはもっと大人向けなのですが、ちょっとアダルトなので(汗)子供向けのバージョンを紹介しました。この「鬼ムーチー」の民話は絵本や紙芝居になっていて、ムーチーの日が近づくと幼稚園や小学校で読み聞かせをすることが多いです。
ムーチーの作り方
ムーチーの日が近づくと、子供たちは幼稚園や小学校、児童館などでムーチーを作って食べたりします。
ムーチーの作り方は簡単なので、紹介します。
- 餅粉に水と砂糖を加えてよく練ります。好みで紅芋パウダーや黒糖を混ぜてください。
- 耳たぶくらいのかたさにこねたら、月桃の葉っぱの上に小判型に整えてのせます。
- 月桃の葉っぱで包んで、30分くらい蒸して出来上がりです。
味の異なるものを作った場合は、ビニールひもの色を変えて葉っぱを結ぶと見分けがつきます。(市販されているものも、そうなっています。)
材料はスーパーでも手に入ります。ムーチーの日が近づくと、ムーチーの材料や出来上がったムーチーが山積みされて販売されています。他の日にはムーチーはほとんど見られません。基本的にムーチーはムーチーの日にだけ食べる特別な食べ物なんですね。
月桃の葉は販売もされていますが、学校や個人の庭、街路樹の植え込み、公園などにも自生しています。

まっすぐで長さが30~40センチくらいあるので、お餅を包むのにちょうどいいです。月桃の葉は防菌作用があるので、昔から食べ物を包むのに使ったり、今はシャンプーや化粧品に加工されたものもあります。
ムーチービーサー
沖縄では毎年、ムーチーの頃は寒さが厳しくなります。これをムーチービーサーと言って、ローカル天気予報では必ず紹介される言葉です。沖縄の1月の平均気温は17℃くらいですが、北風が吹きこんで気温よりも、もっと寒く感じられます。
沖縄に遊びに来られる方は「本土ほどではないけれど寒い」と思って服装の準備をして下さいね。そして、期間限定のムーチーを食べてみてくださいね。