本島中部の観光でおすすめしたいのが、うるま市の穴場の遺跡・史跡群です。うるま市には世界遺産に登録された勝連城跡もありますが、ゆっくりと時間をかけて観光したいなら穴場の遺跡・史跡巡りの方がおすすめです。
伊波城跡
標高90mの丘の上にある伊波城跡。この場所からは旧石川市内を一望することが出来る穴場スポットであり、珍しい野面積みの築城法で建てられた城としても知られています。城の規模としては小さい部類に属しているのですが、自然の岩を生かした城だったため、世界遺産に登録されている首里城などとは違った雰囲気があります。城内には複数の拝所が置かれており、今でも人々の祈りの場として大切に保管されています。
伊波城跡で見られる野面積みとは?
野面(のづら)積みとは、自然の石や岩をほぼ加工することなく積み上げていく独特の築城法です。伊波城跡では野面積みによる、自然の地形を生かしながらS字状にくねらせた見事な石垣が見られます。
伊波貝塚
伊波城跡の丘陵崖下にあるのが伊波貝塚です。伊波貝塚は大正9年に大山柏氏が発掘調査を行い、その実態が沖縄において明らかにされた数少ない遺跡の一つです。
貝塚からは、のちに「伊波式土器」と命名された平底の深鉢型をした土器が発掘されたほか、様々な種類の貝類や魚の骨、獣骨なども出土しています。
安慶名城跡

安慶名城は城を取り囲むように二重に石垣がめぐらされている、県内では珍しい輪郭式のグスクです。築城された時期については未だはっきりとはしていませんが、12世紀後半から13世紀初頭の「グスク時代」に築城されたものと考えられており、二重の石垣は15世紀頃に作られたものであるといわれています。
安慶名城の北側には、別名「大川」とも呼ばれる点眼側が流れており、かつては「大川グスク」とも呼ばれていました。中山時代には「難攻不落の城」として、周囲の強力な按司たちから恐れられていたとも言われています。未だ本格的な調査が始まっていないため城の周囲はほとんど整備されておらず、長い月日によって機や草に覆われてしまっていますが、それすらも悠久の時を感じさせる見所の一つとなっています。
仲原遺跡

仲原遺跡は、伊計島にある遺跡です。伊計ビーチから車で10分ほどの場所にある穴場のスポットで、調査の結果、縄文時代晩期の集落跡ということが分かっています。
仲原遺跡から発掘されたのは、石で囲まれた複数の堅穴住居跡です。建物は2種類あり、5~6mの広さを持つ大型の建物のほかに、径が2~3mの小型の建物が発掘されています。建物のほかにも、土器や石斧、骨製品や貝製品なども出土しています。さらに同じ遺跡内からは人骨も出土しており、当時の埋葬方法や生活様式を知る上での貴重な資料として保管されています。
平敷屋製糖工場跡
勝連城からさほど遠くない東海岸をドライブしていると、海側に突如茶色い煉瓦造りの煙突が見えてきます。これが平敷屋製糖工場跡です。煉瓦造りの煙突の高さは約16.3mで、表面には所々に銃痕が見られるものの、保存状態としては良好を保っています。
平敷屋製糖工場跡は、この地域にもともとあった11組のサーターヤー組が合併したことによってつくられた共同の製糖工場です。工場は戦前に建てられ、当時としては珍しい蒸気を原動力とする共同製糖場として稼働していました。米軍の攻撃によって現在では煙突1基と貯水槽が現存するだけとなりましたが、設立当初は3基の煙突を持つ大規模な製糖工場であり、燃料には石炭が使われていたといいます。
ジャネー洞
「ヤブチ洞窟移籍」とも呼ばれているジャネー洞は、勝連半島の東側にある「藪地島」にあります。1959年に発見された洞窟遺跡であり、洞窟の内部には今から6500年前の土器や鏃が出土されていることから人が住んでいたといわれています。
この場所は近年パワースポットとして秘かに注目されつつありますが、地元では古くから神の宿る聖地として信仰の対象とされてきました。中に入ることもできますが、今でも祈りの場として地元住民から大切にされている場所でもあるので、見学する際には最低限のマナーを心がけるようにしましょう。