
国際通は沖縄観光のメインスポットです。そのため国内外から多くの観光客が訪れるのですが、反対に沖縄県民はほとんど出掛けません。だから国際通りのことは沖縄県民よりも観光客が詳しいこともよくあります。
昔は沖縄県民のデートスポットだった
那覇市の国際通りといえば、沖縄県のメインスポットです。
かつては「奇跡の1マイル」とよばれ戦後復興のシンボルだった当時の国際通りには観光客の姿などはありません。
闇市がたっていたため生活用品や食料などを買い求める沖縄県民が集まりはじめ、いつしか店や飲食店のほかにも娯楽施設が立ち並ぶようになります。
結果として「県民のお出かけスポット」になっていました。
特に有名なのは、現在てんぷす館があるあたりにあった「アーニーパイル国際劇場」です。
娯楽の少ない当時の沖縄で民間人が経営していたアーニーパイル国際劇場は、ショッピングをしながら娯楽を楽しむことが出来るまさにデートスポット!
当時はアーニーパイル国際劇場目当てに国際通りにやってくる人も多かったのです。
そのため「アーニーパイル国際劇場がある通り=国際通り」となったのが国際通りの名前の由来にあるといわれています。
その後、国際通りのちょうど中心にデパート・沖縄三越がオープンします。
この三越の登場によって、若者たちのデートスポットだった国際通りは家族で楽しむことが出来るお出かけスポットに変わっていきます。
今や観光客の姿しか見かけることがない国際通り
現在の国際通りは、土産物品店や沖縄料理の店、パフォーマンスを楽しみながら食事をすることが出来るステーキハウスや琉球料理の店などがずらりと立ち並んでいます。
沖縄県民と共に歩んできたデパート・沖縄三越も数年前に閉店し、建物は沖縄の観光スポットとして再利用されています。
ただし国際通りには無数の通りがつながっていて、こうした通りは牧志公設市場を取り囲むようにして組まれています。
通りの数は非常に多く通りの様子もそれぞれ違います。道幅も広く店が集中している通りもあれば、30歩で通ることが出来る超短い通りもあります。
さらに裏通りには昔ながらの店も多く、国際通りから離れるほど地元県民の姿が増えます。
ただ国際通りから離れるほど「観光っぽさ」は減り、その代わりどこにでもあるような地元の商店街のような活気にあふれています。
この地域で生活をする人にとってはこちらの通りの方に足を運ぶことが多いのですが、逆に観光客がこの通りを訪れることはまずありません。
だから国際通りといっても沖縄県民と観光客のすみわけははっきりと分かれているのです。それが今の国際通り周辺のリアルな事情といえるのです。
沖縄県民でも特別な時には国際通りにやってくる
地元に住んでいる人でない限りほとんど通ることがない国際通りですが、牧志公設市場だけは例外です。
一般的に沖縄県民が「国際通りに行く」ということは「牧志公設市場に買い物に行くこと」を意味します。
沖縄では盆・正月以外にも旧暦で行われる様々な伝統行事があります。
伝統行事には必ず伝統料理が必要で、その食材には沖縄料理で欠かすことが出来ない豚肉があります。
沖縄県民は豚肉に特別な想いがあります。同じ伝統料理でもそれぞれの家庭によって味が違います。
それだけに特別な日に作る料理の食材には「公設市場の○○店の肉じゃなくちゃダメ」という人も未だに多いです。
だから普段は沖縄県民の姿を見かけることがほとんどない公設市場ですが、盆や正月など伝統行事の前にはその準備の為に多くの沖縄県民が馴染みの店で食材を調達するためにやってきます。
ただあくまでも用があるのは公設市場やその周辺に昔からある伝統料理の食材を販売しているお店であって、「買い物のついでに国際通りを周ってみようか?」なんてことはありません。
それどころか公設市場周辺のコインパーキングの料理金は周辺の相場よりも高いですから、「用が済んだらさっさと帰ろう」というのが一般的です。
だからほとんどの沖縄県民は国際通りのことをほとんど知らないのです。
また姿を変える国際通り
2019年6月をもって現在の牧志公設市場は、改築工事に伴う移転の為に閉店しました。
移転先は近くにあった広場になるのですが、仮設市場周辺はすでにここ数年でどんどん姿が変わってきています。もちろん仮設市場がオープンすれば、数年は仮設市場での営業となります。ですから今よりもさらに景色は変化していくはずです。
ちなみに仮設市場で営業が始まれば、国際通りに続く通りにも変化は出てくるでしょう。
おしゃれなお店が並ぶ「浮き島通り」も仮設市場に面した通りになるので、この通りの様子も変わっていくはずです。
メイン通りである国際通りにはホテルがどんどん建築されていますし、店舗もどんどん入れ替わっていきます。
ただ公設市場が仮設に移転すれば、最も変化が大きいのは国際通りにつながる様々な通りの方に違いありません。
こうした変化はあまりにも目まぐるしく行われるため、地元に住む沖縄県民よりもしっかりと下調べをしている観光客の方が国際通り事情に詳しいのかもしれませんね。