
方言で「ンスナバー」と呼ぶフダンソウ。ほうれん草のようにも見えるのですが、れっきとした沖縄の島野菜なので、昔から家庭料理にもよく使われています。そんなフダンソウには驚くような健康効果が!その秘密とは?
フダンソウと呼ばれるようになった由来
見た目がほうれん草によく似ているフダンソウは、沖縄では昔からよく食べられてきた島野菜です。料理方法もほうれん草とほぼ同じ!ですからシンプルにおひたしにしたり炒め物にして食べるなど、手軽な家庭料理の食材として使われています。
でもフダンソウとほうれん草には、分かりやすい違いがあります。ほうれん草の旬といえば11~12月。鉄分のほかミネラル成分やカロテン、さらに葉酸を多く含んでいるため、冬の健康野菜として人気があります。
そんなほうれん草に対してフダンソウは、一年中いつでも旬です。つまり季節に関係なくいつでも収穫できる野菜ということで「不断草」と漢字で書きます。これがフダンソウとほうれん草の一番の違いであり、名前の由来でもあります。
強烈な生命力を感じるフダンソウ
沖縄の強烈な夏の暑さにも負けずに一年中大きく成長するフダンソウ。そのため沖縄で採れるフダンソウは、茎が太く葉も肉厚があります。食べた時の味や調理法はほうれん草とほとんど同じなのですが、見た目は明らかに一般的なほうれん草と違います。
柔らかな葉とほっそりとした茎を持つほうれん草を「スレンダーな沖縄美人」に例えるなら、沖縄のフダンソウは「マッチョな沖縄男児」。強烈な生命力を感じるたくましい見た目が特徴的です。
フダンソウの栄養価はほうれん草とほぼ同じ
調理方法や味がほうれん草によく似ているフダンソウは、栄養価もほうれん草とよく似ています。ほうれん草の代表的な栄養素といえば鉄分ですが、フダンソウも多くの鉄分を含んでいます。もう少し突っ込んで話してしまうと、ほうれん草よりもフダンソウの方が鉄分は多いのです。
ちなみにフダンソウには、健康に良さそうなこんな栄養成分も含まれています。
マンガン
マンガンは、代謝や生殖機能に必要な栄養成分です。血液を作る上でもマンガンは必要ですし、食べ物を食べた後の消化を助ける働きや炭水化物や脂質などの消化・吸収を行う酵素の働きを促す働きがあります。
マンガンが多く含まれている代表食品といえばショウガですが、そのほかにもアーサ(あおさ)やシジミ、乾燥した青のりやきくらげなどにも含まれています。ただこれらはメインの食材としてはちょっと役不足な感じがしますよね?
それに対してフダンソウは、マンガンが豊富に含まれている上にしっかりとメインの食材にもなります。鉄分だけでなく普段の食事ではとりにくいマンガンも豊富に含まれているので、万能効果の島野菜の代表といえます。
カロテン
カロテンといえば、ニンジンやミカン、ピーマンやカボチャなど緑黄色野菜に多く含まれている栄養成分です。緑黄色野菜の代表選手であるほうれん草もカロテンが豊富な野菜ですが、ほうれん草によく似たフダンソウも実はカロテンが多いことが分かっています。
カロテンは油との相性が良いことから、炒め物などで食べるのがおすすめです。フダンソウは肉厚な葉に太い茎が特徴なので、サラダなど生で食べるよりもチャンプルー料理やバター炒めなど炒め物にして食べる方が美味しい島野菜です。
灰汁が強い沖縄のフダンソウ
豊富な栄養成分が含まれる沖縄のフダンソウですが、とにかく茎が太く葉肉が厚いため、地元ではほとんど生で食べることはしません。虫もつきにくく成長スピードも速い沖縄のフダンソウは、とにかく大きくたくましく育ちます。
そのためなのでしょうか?ほうれん草よりもえぐみや灰汁が強く、炒め物にする場合も軽く茹でてから調理しないと野菜が苦手な子どもは食べてくれません。ちょっとひと手間かけなければいけないところが面倒かもしれませんが、沖縄ではほうれん草よりも手頃な値段で一年中手に入るフダンソウ。さすが長寿大国・沖縄の島野菜。
手軽なフダンソウを使った沖縄家庭料理レシピ
油と相性が良いフダンソウですから、やはりおすすめはフダンソウを使ったチャンプルー料理です。
ただフダンソウはとにかく灰汁が強い野菜ですから、炒める前に一度軽く茹でてから使います。茹でて軽く絞ったフダンソウはツナ缶と一緒に炒めるのがおすすめ!ツナ缶のオイルも入れれば、フダンソウの栄養成分を失うことなく調理することが出来ます。ただしチャンプルー料理にした時にフダンソウから水気が出た場合は、灰汁を含んでいる場合がありますので捨てるようにしてくださいね。