
沖縄に移住してみるとちょっと不思議な風習に出会うことがよくあります。でも地元に住んでいる沖縄県民からすれば、何が不思議なのかがわからない…。そんなちょっと不思議な沖縄の習慣を集めてみました。
居酒屋のおしぼりは有無を言わさずグラスの下に敷く
居酒屋で使用済みのおしぼりをどうするのかを見ていれば、「ウチナンチュ」か「観光客」かがわかります。なぜならウチナンチュは「使用済みのおしぼりを必ずグラスの下に敷く」からです。
理由は正直言ってわかりません。よく聞く理由は「(グラスの)結露でテーブルが塗れるのが嫌だから」です。たしかにキンキンに冷えたビールジョッキをそのままテーブルに置くと、時間とともにテーブルは結露でビチャビチャになっています。
でも沖縄の居酒屋にだってちゃんとコースターを準備しているお店はあります。でもたとえコースターがあったとしても、ウチナンチュはおしぼりをジョッキの下に敷きます。ほとんど無条件の行動なのでこれ以上「どうしてなの?」とは聞けませんが、沖縄でしか見ることがほとんどない不思議な風習の一つです。
集合時間=自宅を出発する時間
沖縄には「うちなータイム」というものがあります。いい意味で言えば「時間に囚われない自由な生き方」、悪い意味で言えば「時間にルーズなだけ」といわれるうちなータイムは、いろいろな場所で見ることが出来ます。
特に要注意なのが「集合時間」を設けた時のうちなータイムです。うちなータイムで広く一般的に解釈される「集合時間」は「自宅を出発する時間(または目安)」のことを言います。そのため集合時間に間に合わなくても、よほどのことがない限り慌てません。
もちろん学校行事などでもうちなータイムは効力を発揮するため、最近では集合時間をワザと前倒しにして告知するというケースも見られます。ですから集合時間通りに行くと「ビックリするほど待たされる」というねじれ現象が起こります。そのため最近では沖縄県民であってもうちなータイムの判断の仕方に苦労するのが現状です。
バスの時刻表は「ただの目安」
電車がない沖縄において唯一共通の公共交通機関と呼べるのが、県内各地を網羅している路線バスです。バス停には当たり前のように時刻表があるのですが、沖縄県民はほとんど時刻表を見ません。
何しろ沖縄の時刻表は、あくまでも時間の目安であって定刻通りに到着することなどほとんどありません。「早めについて時間調整する」というバスはほぼなく、基本は時刻表よりも10~15分ほど遅れます。ですから時刻表を確認しなくても、とりあえずバスが到着するのを気長に待つしかありません。
ちなみに沖縄県民が「バス遅いな~」と感じるのは、30分以上バスが来ない場合。さすがにこれだけ遅れると、「バスの時刻表はただの目安」と割り切っている沖縄県民もため息をついてしまいます。
ただ面白いのがそのことに対して「イライラする」というのではなく、「遅れてしまって困ったさぁ~」といって現実を受け入れるところ。これが東京などのような大都会だったら、こんなにゆる~く受け止めてくれるとは限らないでしょう。こうしてみると、いいも悪いもうちなータイムは沖縄県民の中で根付いているといえます。
沖縄県民同士の会話は「だからさ~」ですべて完結できる
沖縄県民同士の会話を聞いていると、「だからさ~」という単語が頻繁に出てきます。ただ「だからさ~」の使い方には様々な用途があり、アクセントの使い方や語尾のニュアンスによっても意味が変わります。
例1:相づちバージョンA子:「今日も暑いね~」
B子:「だからよ~」
この場合は、「暑いね」という問いかけに対して「本当に暑いね」という相づちの意味で使っています。
例2:同意バージョンA男:「マジわじる!」
B男:「だからよー!」
この場合A男は「本当に頭にきた(マジで怒った)」といっています。これに対して対応したB夫は「俺もだよ!」と同意の意味で使っています。
例3:会話の切り替え時に使うバージョンこれは意外となんにでも使えます。脈絡のない会話の合間に突然「だからよ~」が入ると、これによってそのあとの会話が180度切り替わることもよくあります。
例4:複数の意味を持つバージョンC子:「今日も残業か~」
E代:「だからよ~…」
この場合はいろいろな意味を「だからよー」は含んでいます。話の流れだけを読むと相づちバージョンと同じように見えますが、受け取り方によっては「マジで勘弁してほしいよ…」というE代の心の声も見えてきます。
さらに深読みすると「C子も大変だけど私も頑張るから一緒に頑張ろうね」というE代からの心温まる励ましの言葉とも解釈できます。
沖縄のちょっと変わった風習はまだまだ無限に広がっている
沖縄に移住してみると、今回紹介した風習がほんの一例に過ぎないことがよく分かります。最初はびっくりするようなものもありますが、じっくりと観察してみるとなんとなく面白い沖縄の不思議な風習たち。こうして観察してみるのも、沖縄好きにとってはたまらない時間の過ごし方といえます。