日本各地にはご当地の鍋料理がありますね。でも、沖縄にはご当地鍋料理がありません。家庭でも鍋料理が食べられるようになったのは、最近のことのようです。ですが、汁物はホントにたくさんありますので、汁物をご紹介したいと思います。
みそ汁
沖縄の食堂には”みそ汁”というメニューがあります。これは単品のみそ汁ではなく、どんぶりに入ったみそ汁をおかずにして食べる定食のようなものです。食堂のみそ汁の具材は、具だくさんで、豆腐や大根など本土でもポピュラーなモノだけでなく、レタスや落とし卵、ポーク(ランチョンミート)が入ってることもあります。
野菜のビタミンなどは茹でると水に溶けてしまいますが、汁ごと飲めるみそ汁は栄養面でも優れた調理法です。食堂によって味も違うので食べ比べてみるのも面白いです。
かちゅーゆ
かつおぶしの入ったお湯にお味噌を溶いたものです。他の具材も出汁も使わないのですが、本当においしいです。かつおぶしもお味噌も”ホンモノ”じゃないと出せない味です。沖縄の人は風邪の引き初めなど体調が悪い時などによく飲むそうです。
中身汁(なかみじる)

豚の内臓とこんにゃく、しいたけなどで作ったすまし汁です。豚の中身を使うから、中身汁なんですね。豚もつ煮じゃなくて、豚もつ汁ってところでしょうか。
お正月などのお祝いの席で食べられることが多く、お雑煮は作らないけれど、中身汁は作る家庭も多いのではないかと思います。
あっさりしていておいしいのですが、臭みを取る下ごしらえに手間がかかります。そこで、下ごしらえの済んだ「中身」も販売されていて、年末になるとスーパーや市場にずらっと並びます。
いなむどぅち(いなむるち)
いなむどぅちは、豚肉とこんにゃく、しいたけなどの野菜で作った白みそ仕立ての豚汁のようなものです。
いなむどぅちの語源は”猪もどき”で、昔は猪の肉を使って作られていましたが、やがて豚肉で作られるようになり、イナ(猪)+ムドゥチ(もどき)が訛って「いなむどぅち」と呼ばれるようになりました。
もとはお祝い料理ですが、家庭でも学校給食でも食べられます。スーパーへ行くと”いなむどぅち”用のこんにゃくや味噌が販売されています。
牛汁

牛肉と大根、にんじん、フーチバ(よもぎ)、昆布などを出汁で煮込んだ汁物です。食堂ではみそ汁と同様に牛汁をおかずにご飯とサラダや漬物と一緒に定食として出されることが多いです。どこの食堂でもボリューム満点ですが、すまし仕立てなので、しつこさがなく完食できます。
沖縄で毎年開催されているハーリーなどのお祭りの出店でも「牛汁」が食べられます。
骨汁
沖縄そばの出汁を取る時に使った豚の骨を青菜などの野菜と一緒に出汁で煮たものです。出汁を取った後の骨をまた出汁で煮るって、とても不思議な感じがします。中華料理に使うスープは鶏ガラを使いますが、スープを取った後の鶏ガラは食べないと思いますが、沖縄そばの出汁を取るための豚の骨はわりと肉がついているので、もったいないから食べるってところから始まったのかもしれないなと私は思いました。
食堂のメニューにもありますが、どんぶりからはみ出すくらいに盛り付けられていて、強烈なインパクトがあります。骨にかぶりついて食べる姿はとてもワイルドですが、くさみもなく、ボリュームも満点です。 なぜか沖縄の浦添より北の中部の食堂に多いそうなので、食堂に入ったら探してみてください。
魚汁
日本各地に魚汁はありますね。沖縄の魚汁は、シチューマチ(アオダイ)などの白身魚のアラを使った味噌仕立ての汁物です。魚をまるごと買って身の部分はお刺身にして、残ったアラ部分で魚汁を作ることもありますし、アラだけを購入して作ることもあるので、スーパーでも魚のアラをよく見かけます。家庭でも食堂でも食べられます。豆腐や青菜、卵を入れてもおいしいです。マラソン大会の差し入れメニューとしてもお馴染みです。
アーサ汁
アーサ(あおさ)と島豆腐で作ったみそ汁です。磯の風味が豊かでとても沖縄らしい料理だと思います。家庭でも食堂でも学校給食でも食べられている沖縄ではポピュラーな汁物です。
アーサーはたんぱく質もミネラルも食物繊維も豊富なので、積極的に取りたい食材のひとつです。
アバサー汁
アバサーとは、ハリセンボンのことです。興奮すると体をふくらませてトゲを立てる姿がよく知られています。アバサーは汁物にして食べられることがほとんどです。ちょっとクセはありますが、他にない味わいです。ニラやフーチバ(よもぎ)を入れてもおいしいです。
アバサーをさばくのは難しいので、魚屋さんでさばいてもらったほうがいいでしょう。牧志公設市場で皮をむかれて丸坊主(?)になったハリセンボンが売られているのを見たことがあります。
ヤギ汁
名前の通り、ヤギの肉を煮込んで作ったスープです。昔の沖縄はヤギを飼っている家も多く、貴重なたんぱく源として大切にされていました。なんせにおいが強いので、沖縄県民でも好き嫌いがわかれます。
国際通り周辺にもヤギ料理のお店はありますし、お祭りの出店でもよく見かけますが、お店の近くを通るだけでも、ものすごいにおいがします。例えていうなら「動物園のにおい」です。私は苦手なんですが、やみつきになるほど好きという人もいます。
面白いのは、妊婦が食べると早産になると言われていることです。医学的な根拠はないのですが、今でも妊婦はやめといたほうがいいと言われているようです。
イラブー汁
イラブーはうみへびです。イラブーは滋養強壮の効果があるとされ、高級な宮廷料理でしたが、最近ではイラブー汁を提供するお店もあります。
牧志公設市場へ行くと、燻製になって丸められたイラブーが吊るされている光景を見ますが、くさみを取り除くのに手間がかかるので、家庭で作られることはあまりなさそうです。
離島フェアでは毎年、イラブーの燻製が販売され、イラブー汁も食べることが出来ます。
ほかにも、イカスミ汁やむじ汁、あひる汁というもあって、食堂で食べられるだけではなく、汁物専門店もあります。是非、挑戦してみてくださいね。